全体集合𝑈から君𝑦を除いた任意の人𝑥はみんなやってるよ

2024年12月3日の日記

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みなさんがサイトのリニューアルをしているのを見てわたしもそろそろSvelte5と向き合うべきか、と移行作業をやったんですが、なんかよくわからん壊れ方をしたので泣きながらロールバックしました。別のプロジェクトを移行したときは問題なかったんですけど、やっぱりMDSveXとかshadcn-svelteみたいな複雑な依存関係があるのがよくないんですかね。もはや一回更地にした上に同じ技術スタックのサイトを建て直すしかないのかもしれん。

まあそういう感じでリニューアルには失敗したのですが、せめて何かしらの新しい機能を入れよう、とKaTeX\KaTeXを導入したので数式が書けるようになりました。わたしはLaTeX\LaTeXの記法どころか数学それそのものがマジでなにもわかっていないので使う機会はほぼないと思いますが、もしもゲスト原稿回が実現したりしたら役に立つのかもしれません。以下の文章は特に意味のないサンプルです。

「みんなやってるよ。やってないのは君だけだよ」という文章について考える。

まず、「みんな」を全体集合UUとし、「君」をy{y}、「やってる」という性質をP(x)P(x)と定義する。このとき、「みんなやってるよ。やってないのは君だけだよ」は「君はやってないよ。かつ、みんなの中の任意の人は君でないならばやってるよ」と言い換えることが可能であり、次のように記述される。

¬P(y)(xU(xyP(x)))\lnot P(y) \land (\forall x \in U (x \neq y \to P(x)))

2024/12/04追記: フォロワーの数学やさんに聞いたところ、記事のタイトル通り「全体集合UUから君{y}\{y\}を除いた任意の人xxはみんなやってるという性質P(x)P(x)を持っているよ」と言い換えて、以下のように記述するのが一般的だよ~とのことでした(ありがとうございます)。

xU{y},P(x)\forall x \in U \setminus \{y\} , P(x)

しかし、こうして見るとバチバチにキマった見た目の数式を書きまくれるのってけっこう嬉しいですね。これを機に数学をちょっとずつ勉強しては「これってもしかしてこういうことですか!?」と半分くらいの割合で間違ってる気付き情報を定期的に掲載しちゃおうかな(やめなさい)。

もうちょっと勉強の話していいですか?物体表面の反射特性を記述するための関数、双方向反射率分布関数(Bidirectional reflectance distribution function, アホほど長いので全員BRDFと呼んでいる)には入射光の方向ωi\omega_i、観測方向ωo\omega_o、表面法線nnに加えてnnω\omegaのなす角θ\thetaという4つの変数が出てきて、θ\thetaは反射光の明るさを求めるのに使われる(面と光源、視点の角度が垂直に近ければ近いほど反射が強くなるので)んですが、このθ\thetaを求めたいときに解く式f(θ)=nωf(\theta) = n \cdot \omegaffにはcos{\rm cos}が使えるよ~(cos{\rm cos}は角度を取り、角度が0度の場合に0を返し、90度の場合に1を返す関数なので)という話を聞いてあまりのシンプルさに「エェーッ!?」と思いました。これさすがに美しすぎませんか?いえ、数学がまっとうにできるみなさんからすれば今更すぎる話かもしれませんが……

反射といえば、肌とか髪の毛とかの密度の低い物体の中を通った光が物体の固有色に影響された状態で透過する表面下散乱(Subsurface Scattering, SSS)はイラストレーターの間でもよく知られた現象になってきた一方で、フレネル反射と異方性反射はその重要性のわりに固有の概念として覚えている人が少ない印象があるな。この文章を読んでる人の中にイラストレーターがどれだけいるんだという疑問はあるけど、せっかくなので説明しておこうと思います。

フレネル反射(Fresnel Reflection)というのは屈折率が異なる2つの媒質の界面に光が入射した場合に、一部の光が透過し、一部の光が反射する現象のことです。水中から水面を見たときとかに起きる全反射もフレネル反射で説明される事象なんですが、イラストを描く上では視線に対して平行に近い面の反射率が高くなるということだけ覚えておけばいいと思います。BRDFの文脈で説明すると視線ωo\omega_oと表面法線nnのなす角θo\theta_oが0に近づくほど反射率が高くなる(は?)ので、視線に対して垂直な面よりほぼ水平な面のほうが明るく見えるという異常な事態が起きるというわけですが、実際には水面を上から見たときに水平線のほうにある波がキラキラと光って見えたり、髪の毛の縁のほうにハイライトができたりといった形で日常的に現れている現象です。後者はよく「リムライト」という名前で紹介され、逆光と結び付けられることも多いので「なんで被写体の正面まで逆光が回り込んでくるんだ?」と思っていた人もいるかもしれませんが、実はフレネル反射によって視点の反対側にある光が反射していたからだったんですね。

もう片方の異方性反射(Anisotropic Reflection)(わたしはこれをIllegality Reflectionと言い続けていた結果異方性の正しい訳を忘れて困ったことがある)は方向性のある構造を持つ物体表面の反射特性が視線の向きによって変わる現象のことで、ブラシ加工された金属を見たときに溝の方向に沿ってできるハイライトや、髪の毛にできる縦のハイライト、いわゆるエンジェルヘイローなどがこれに該当します。

いかがでしたか?ふだん適当に描いている髪の毛の反射が、実は複数の特殊な物理現象によるものだったなんて、驚きですね。それでは!

ありがたいことにいろいろな方にNodenariumへ言及していただいたおかげで興味や関心を持ってもらう機会が増えて非常に嬉しいのですが、それはそれとしてまったくメンテをしていないのでサイト情報は増えず既存のサイトの情報は更新されずで非常に申し訳ないです。この日記を書き終えたらすぐに既存のサイトの情報を更新します。許してください。お願いです。なにとぞ。

そもそもNodenariumは「いまでも積極的に更新されている個人サイトの日記を読みたいけど、そういうコンテンツはたいてい検索性が悪くて探しづらいから、みんなの集合知を借りていろんな個人サイトを見つけよう」という明確な目的があって作られたサイトなんですが、わたし自身がそのことにほぼ言及しないせいでいままで1件も掲載の推薦が来たことがないんですよね。そんな状態なのでメンテをする気力も起きず、庭園にも雑草が見えはじめている。各サイトのRSSフィードをもとに最終更新日を自動で取得したり、あるいはそれらを束ねた最強の全部入りRSSフィードを設けたりしたい、というアイデアはあるものの、実装に時間を使う気分になれない。とはいえここ前後2週間くらいが忙しさのピークでNodenariumのメンテに限らずあらゆることができとらんという事実もある。現状がなんとかなったらやりたいことリストに入れてはあるので、そのうち実装されるはずです。

あと「noteやtumblrなどの既存のプラットフォーム上にないこと」という制限のせいで個人サイトに属さない良質個人ブログが掲載できないという問題もなんとかしたい。制限を全面撤廃するかは未定ですが、個人サイトとは別枠でそういったWebサイトのコーナーも設置するかもしれません。

このサイトの相互リンクのコーナーにもなんらかのリンクを張ってあげたいな、という気持ちが発生したので、とりあえず一方的な被リンクをいただいていたサイトを相互リンクとして掲載しました。相互リンク募集中です。みんなやってるよ。やってないのは君だけだよ。リンクバナーないけど相互リンク希望です!という方は素材とご要望さえいただければ作ります。当方グラフィックデザインを専攻しております。明るく元気です。御社に採用いただいた暁には……

こんなもんか。みなさんもSNSで病気になっているくらいならブログに日記を書いたほうがいいです。みんなやってるよ。やってないのは君だけだよ。