ファスト感情
2024年1月12日の日記
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昨年の11月中旬に新しい脳の薬が増えてから1か月で3枚も絵を描いたり数日でアニメを1.5クール分観て最新話に追いついたりとすべてが良くなってきていてすごすぎる。合う薬が見つかるとこんなにも違うんですね。ということで、本年もまた不定期にお役立ち情報の隙間にこういった日常回を差し込んでいこうと思います。
20歳になってからしばらくが経ったんだけど、無病息災に生きた場合これから60年とか80年とか生きなきゃいけないのが怖すぎて毎日震えています。病的なまでの完璧主義者だから、数十年後に人生を振り返って「あの頃はまだ未熟だったな」と思いたくなさすぎる。というより、思われたくない。たとえわたし自身だろうと、わたしを愚弄することは許せない。だいたい60年後のわたしなんか現在のわたしと同じ人間なわけなくないですか?まあ、こうして怯えていること自体が未熟さの証左ではあるんだろうけど。――と、こんなことを書いて予防線を張っても、いずれこの文書は失われ、記憶からも消えて、結局「あの頃はまだ未熟だったな」と思うんだろう。人間は不完全なようにできているから(悲観的すぎるか?)。
最近のコンテンツ摂取情報です。小さくも研ぎ澄まされたコンセプトの中に制作者の感情が詰まっている様を「ファスト感情」と称してインディーズのADVをいくつか買ったのですが、その中のFor the GHOSTsという作品がとても良かったので、それについて少しだけ。 この作品は”Your Room”と呼ばれるプレイヤーのための空間でプリセット内の単語を組み合わせて詩を作ったり(ストーリーの進行には関係ない)、“Ghost Room”と呼ばれる空間でキャラクターたちと会話したりするゲームなんだけど、とにかくストーリーが良い。これを読んでいるみなさんにも強くおすすめしたいので踏み込んだことは書かないけど、「在るとは何か」「自分とは何か」「他人とは何か」ということを考えさせられる素敵な作品だということだけはお伝えしておきます。 それに加えて独特のアートスタイルも良い。実写合成のイラストを主軸にしているところや、画面下部をテキスト領域に使う代わりにキャラクターのそばにテキストボックスを出すという「ゲームっぽさ」から一歩下がったキャラクターの描き方がかなり――というか、スクリーンショットを見て購入を即決するほど――良かった。ストーリー面でもアート面でも、もっとこういうスタイルの作品が増えていくといいですね。
最近のコンテンツ摂取情報2(ツー)です。葬送のフリーレン、あまりにも面白すぎる。搦め手に頼らず真正面から冒険活劇と人間ドラマでぶん殴る姿勢に感服しました。ロマンやユーモアに対する価値観の原点に立ち返って「面白さはどこから湧出するのか」というのを再考させられる作品です。それと「(精神が)病気の人でも観られる」という評価はその通りで、感動的なシーンはちゃんと感動的な一方で日常パートが多いのでらき☆すたとかゆゆ式とかしか観られない精神構造でもスッと17話を一挙に観られました。病気のみなさんにもおすすめです。日常系アニメを除けば精神がおかしくなった以後のアニメで初めて率直に面白いと感じたし、人生で初めてネタバレに対して無防備だったことを本気で後悔したし、とにかく初めての体験が多い作品でした。まだまだ通常のアニメ1クール分の話数を残しているらしいので、今後のお話を観るのが楽しみです。
人々が抽象化レイヤーのないコンテンツを通して行うBare metalな自己表現を見るのが好きなので「個人サイトに帰ろう」という話を時折していたら、”HTML Energy“運動という名前でわたしたちと同じ思想を共有する人たちがいるらしいことを耳にした。この運動は要するに「SNSやCMSの台頭で過度に均質化と商業化が進んでしまったWebの世界に、手書きHTMLの灯を灯そう」というものなんだけど、これはまさに個人サイト回帰の潮流と同じなんですよね。へにょへにょなサイトだけどへにょへにょなりの努力とか美学とか祈りとか、サイト管理者の「大切」が詰まっている。そこにあるコンテンツだけでなく、サイトそのものがひとつの作品になっている。そういう本質的な美しさみたいなものを、個人サイトは内包しているんだと思う。
そういう文脈で語るなら、わたしがSvelteを好きなのも手書きHTMLの温かみが感じられるからなのかもしれない。このブログはHugoとSassでできているし、わたしのポートフォリオはAstroとTailwind CSSでできている。でも、初めて作ったホームページは<style>
タグにCSSが直書きされた、数キロバイトのHTMLファイルだった。それから数年間Web書きを続けてずっとずっと遠いところまで来たけど、それでもこのWeb書きを愛する気持ちやかっこいいWebデザイナーの資格のずっとずっと前には、あのUXやセマンティクスの欠片もない、原始的で不格好なへにょへにょのWebページがあった。だから、みんなにも個人サイトの楽しさとか美しさを知ってほしい。なにもSNSをやめろとは言わない。ただインターネットに庭を持って、そこに咲いた花のことを教えてほしいだけ。
こんなもんか。社会復帰から1年くらい経ってだんだん普通の生活にも慣れてきたし、あとはフィジカルですべてを破壊するだけという状態になってきたな。普通の生活をやっているみなさんも普通の生活をやっていないみなさんも、暖かくなるまでもう少し生き延びましょうね。